所在地 福岡県太宰府市
主要用途 専用住宅
構造 木造在来工法
階数 平屋建て

建築面積 120.82㎡
延床面積 112.27㎡
設計期間 2012.8~2012.11
工事期間 2012.11~2013.3

写真 石井紀久

福岡県大宰府市に建つ平屋の住宅である。
敷地は太宰府市と筑紫野市の間を南北に走る国道を少し入った住宅地の角に位置し、周囲にはゆったりとした土地に少し古いが丁寧に作られた木造住宅が残っており、国道に近いとは思えないほど静かな場所である。太宰府市は市全域に渡って景観条例が設けられており、本敷地も屋根の形状や壁の色彩などに制限がかかる区域に入っていた。周辺の建物はこの条例にしたがって意匠が決定され、ゆったりとした敷地の恩恵ともいえる南面開口を採用した建物が多い。それがこの地の風景を作り出していることがわかる。
そこで建物の構成は周囲の建物に倣い、南面開口を主としたいたってシンプルな平屋とした。南側に敷地より下がった道路があるため、開口部の位置や高さを慎重に検討し断面計画を行った。また、景観条例の要件に関連するエレメントを一度分解し、懐古主義的にならないように再構築した。外壁は木目が消える一歩手前まで白く染めた杉板張りを採用したこと、南に向かって勾配をとる大屋根の見付けのディテールや壁との取り合いの関係などがその回答にあたる。周囲の景観を形作る要素はそのままに受け入れ、その所作に少しの変化をつける事で既存の街並みに配慮しつつ新しい参加者としての清々しい立ち振る舞い方を模索した。